中学校1年生に薦めたい本vol.1 4月

本の海へ出かけよう~現代作家の描く友達たち

大きな希望と少しの不安を抱えながら
春に入学するピカピカの中学校1年生。
冒険のはじまりに
仲間との出会いが必要であるように、
読書も友達を見つけることが
第一歩となります。
本の世界で子どもたちに
友達を見つけさせたいのです。
それがこのあと続く
読書人生の礎となるはずです。
等身大の、
子どもたちと同世代の主人公が
輝いている9冊をセレクトしました。

その1
「ごきげんな裏階段」(佐藤多佳子)

陽も当たらず湿った
アパートの裏階段。
そこにはタマネギねこ、
笛吹きグモ、
煙のモクーといった
秘密の生き物たちが隠れ住む。
好奇心いっぱいの子どもたちは、
奇妙な生き物たちを見逃さず、
どうしても友だちに
なろうとするが…。

その2
「走れ、セナ!」(香坂直)

足の速さに自信のあったセナは、
運動会で
一ノ瀬さんに負けてしまう。
彼女はクラブチーム所属で、
全国大会4位の選手だった。
セナは次の競技会で
彼女に追いつくことを
目標に練習をしていた。
ところが
陸上部が解散するという…。

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その3
「卵の緒」(瀬尾まいこ)

僕は捨て子だ。
その証拠に母さんは僕に
へその緒を見せてくれない。
そして母さんは四月から
いつも同じ話を繰り返す。
朝井さんの話だ。
何でも母さんの職場に
転勤してきた男のひとらしいけど、
ものすごくかっこいいらしい…。

その4
「ミカ!」(伊藤たかみ)

ユウスケには、
双子の妹・ミカがいる。
ユウスケは温和しくて優しいが、
ミカは勝ち気で喧嘩っ早い、
性格の違う兄妹。
二人はある日、近所の団地の
誰も住んでいない部屋のベランダで、
奇妙な生物を見つけ、
オトトイと名付ける…。

その5
「十二歳」(椰月美智子)

小学校6年生の鈴木さえ。
ポートボールが大好きで
友達もいっぱいいる
楽しい毎日だった。
でも、少しずつ
自分の中の何かが変化していく。
頭と身体がちぐはぐで、
何だか自分が
自分でないみたいな気がしてきて…。

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講談社
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その6
「夏の庭」(湯本香樹美)

「ぼく」と河辺・山下の3人は、
町外れに暮らす一人のおじいさんを
「観察」し始める。
人の「死」を見届けたいと
思ったからだ。
夏休みに入り、
「ぼく」たちの観察は盛んになるが、
それに反しておじいさんは
日ごとに元気になっていく…。

その7
「卵と小麦粉それからマドレーヌ」
           (石井睦美)

中学校へ入学したばかりの菜穂は
「もう子どもじゃないって
思ったときって、いつだった?」と
話しかけてきた亜矢と仲良くなる。
13歳の誕生日を迎えた日、
ママがパリへ留学することを知り、
菜穂は激しく混乱する…。

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その8
「西の魔女が死んだ」(梨木香歩)

わたしはもう学校へは行かない。
中学進学後、
不登校となった少女まい。彼女は
片田舎に一人で住む祖母の家で
過ごすことになる。
祖母が語る魔女の修行、
その要点は「何事も自分で
決める」ことだった。
まいは祖母との暮らしの中で…。

その9
「一年四組の窓から」(あさのあつこ)

使われなくなった教室
「1-4」で出会った転校生の杏里と
絵を描くのが好きな一真。
杏里は友人関係のトラブルに
傷ついていた。
一真は父親から
絵をやめるように言われていた。
一真は杏里に
絵のモデルになってほしいと頼む…。

さて、この9冊ですが、
主人公が小学生から中学校1年生。
まさに中学校1年生にとっては
等身大の友達です。
読書生活のスタートにふさわしい
9冊だと確信しています。

しかも、
この9冊の著者はすべて現代の作家たち。
最年長・あさのあつこで1954年生まれ、
最年少・瀬尾まいこで1974年生まれ。
中学生の親の世代に近い
作家たちなのです。

春になったら子どもたちに
自信を持って読書の楽しさを伝える。
それが大人の役目です。
さあ、その前に大人のあなたが
まずは読んでみませんか。

(2020.1.31)